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福永武彦『草の花』



親愛なるルームメイトが、最近読んだ中でよかった本、と言ってたんで読んだ。サマリと感想を書く。



とあるサナトリウムに汐見くんという超然とした男が入ってくる。彼は無謀な手術に挑み、あえなく亡くなってしまう。彼は手術に挑む前に、サナトリウムの友人に2冊のノートを託していた。そのノートを開いてみると、そこには汐見くんの、孤独に満ちた半生が綴られていた。
学生のころ汐見くんは、同級生で同じ弓術部の藤木くんを愛していた。藤木くんの魂が純潔で美しいからだ。この愛は肉欲はまったくなく、精神的な愛であった。そしてお互いにそういう愛をもちあうのが汐見くんの夢であった。が、藤木くんはその愛を重いとバッサリする。自分はとても弱いので、人を愛して責任を負うようなことはとうてい無理なんだということである。その後藤木くんは亡くなってしまう。
藤木くんが亡くなったあとも、彼の妹である千枝ちゃんとの親交は続いた。ぶっちゃけお互い好きだったのだが、とうとう結ばれることはない。汐見くんは孤独であることを自分のアイデンティティにしており、そのうえで愛を求めていた。一方千枝ちゃんは、まあもちろん汐見くんのことは付き合い長いし大好きなんだけど、孤独が自分を決して受け入れないとおもっていたし、そんな高尚な愛に応えることはできないというわけであった。
ノートを読んだ友人くんは千枝子さんとやらにこのノートを渡すかどうか迷って、とりあえず手紙を出してみるが、千枝子さんのお返事は「読んだところで返らぬ後悔を感じるばかりだと思うからいらない」だった。



孤独の思想をもった人がどういう人生を歩むことになるか、って小説だ。俺も似たような思想はもってるんでなんとか想像できたよ。つまりアレだろう、人のことは大好きなんだけど、「この子好き好き大好きモード」に入れないってことだろ? 好き好き大好きモードに入れないから本当の意味で人と一緒になれた気がしなくて、孤独を感じるんじゃないのかな。そのうえふたりは信仰の面で思想がだいぶ違うので、わかりあえた気にもなれないのだろう。もうちょっと気楽に生きろ…って思っちゃうぜ。同じ人間とはいえ別の生き物なんだから、ふむふむそういうのもあるのね、俺には関係ないけど、って程度におさめておけばいいのだ。汐見くんも千枝ちゃんも、自分の思想を相手に押しつけようとして傷つきすぎだぜ。壁に向かってドッヂボールぶん投げて跳ね返ってきて「いてえ!」って言ってるようなもんだ。壁はお前と同じ生き物じゃねーの。だからボールを受け取ってもらえることはねーの。

とはいえ。そうやって傷ついたからこそ、サナトリウムに入るころの汐見くんは超然とした紳士になっているんだろう。いやー、サナトリウム時代の落ち着いた汐見くんをみたあとで過去の汐見くんを見たときは、お前昔こんなアホだったのかよ! とびっくりしてしまった。振る舞いがいちいち未熟なのだ。でも傷つきながらものを考えてきた人間が、最後にはああいった落ち着いた人になるというのは納得だ。「お前ら思想押しつけすぎ」と上述してしまったが、サナトリウム時代の汐見くんはかなり他人のことを受け入れられている。

ルームメイト「草の花読んだの!? みどりんこういう話ぜんぜん好かないでしょ…」
俺「傷ついてるヒマあるならジョギングでもすればって思う…」


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