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村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』



名古屋の話らしかったから読んだ。サマリと感想を書く。



高校時代ボランティア活動を通して知り合った5人、アカくんアオくんクロちゃんシロちゃんそして多崎つくるくん。彼らはめちゃめちゃ仲良くなって、親密なグループであり続けた。が、つくるくんが大学進学のため地元を出て行って数年、突如4人から絶交を言い渡される。彼がその理由を問いただすことはなく、以来その連中とは一度も会うことはなかった。
ひとりぼっちになったつくるくんだったけれど、後輩の友達ができた。結構気があってとっても仲良くなったが、あるとき前ぶれなく彼は消えてしまう。それは4人からの絶交を想起させたが、つくるくんは、自分はそういう運命なのかもしれないと受け入れる所存であった。
社会人になったつくるくんには沙羅さんという彼女ができた。彼女に過去の話をすると、その出来事を未解決にしとくのはゼッテー禍根を残すからちゃんと会ってきいたほうがいいよと言われてしまう。そういうことならとつくるくんは4人に会いに行くこととなる。
残念ながらシロちゃんは誰かに殺されて亡くなっていたので、アオくん、アカくん、クロちゃんを順番に訪問することで、彼は過去のことについて知ることとなった。実はシロちゃんが、自分がつくるくんにレイプされたと訴えたため、みんなはつくるくんを切ることにしたのだという。みんなはほとんど信じていなかったが、シロちゃんもまた大事な仲間であり、訴えが真に迫っていたのでそうしないわけにはいかなかったのだというわけだ。話の中で、つくるくんは、連中がいろんな想いを抱えてグループの生活を送っていたことを知る。彼はいつもグループの調和を考え、個人的な感情を抑えてきたのだが、彼らの負っている傷と自分の傷を詳らかにして初めて彼はすべてを受け入れられた気がした。そして気付いたのだ、人の心と人の心は調和だけでなく、むしろ傷と傷によって深く結びついているのだと。



いやー楽しめた。クロちゃんがいいよね、「心を開くことがいつもいちばん良い結果をもたらす。」の台詞とかドキーっとする。俺はそういう台詞に弱いんだよなあ。それに二人称がいい。「君」っていうのは俺が一番好きな二人称なんだ。以下にこまごまと感想を。

つくるくんについて。
この話は、調和のために変動とかトラブルから目をそらしつづけてきたつくるくんが、きっちり向き合うパーソナリティを得る過程を描いたものだろう。目をそらしつづけてることが、沙羅さんの言った禍根だったんじゃないかな。振り返ってみるとマジでその通りで、男衆はともかく、クロちゃんやシロちゃんの気持ちにガン無視をキメていたことで起こったようなものだろう? 絶交事件って。後輩の友達である灰田くんがどっかいっちゃったのも、彼の気持ちに向き合わなかったのが原因だし。まあでも仕方ないよね、そういうのって自覚してるような習性じゃないから。調和が乱されそうなときは、調和を保つよう動く、っていうプログラムが無意識で働いちゃってる状態だったのだろう。沙羅さんに会えてよかったね。いやまあ沙羅さんも沙羅さんでゼッテー親切100%で忠告したわけじゃないと思うけど。

シロちゃんについて。
どうしてコイツがつくるくんにレイプされたと嘘こいたかっていうと、まあその、恨みじゃないかなーと思う。彼女には件のグループがとっても必要だったのに、つくるくんがそれを壊したから、その恨みだ。もともとレイプはされてたんじゃないかなーって思う。だから性的なことに嫌悪感をもっていたのでは。その相手は名古屋にいて、グループがあったころ(5人がいつも一緒にいたころ)はその被害もなかったんだけど、つくるくんが東京に出たあと再開されちゃったんじゃねーのかな。ゆえに、誰もが不自然に思った浜松への引っ越しを決めたんじゃね? まあ追っかけられて殺されちゃったようだけど。

沙羅さんについて。
たぶん黒幕。この人おそらく事情全部しってるんじゃねえ…。シロちゃんのレイプ犯とか殺人犯とかもしってるんじゃない。つくるくんを誘導したのは、彼のパーソナリティを改善してこれから先うまくやっていくためか、あるいは沙羅さんはシロちゃんの友達か身内で、テメーつくるくん原因のひとつなのにのうのうと生きやがって、という動機からのささやかな復讐か何かか?

相変わらず文章が平易で清潔で整頓されてて気分が非常に良くなった。あとねえ、「名古屋」「今はもうなくなってしまった親密なグループ」っていうのは共感できる要素で、二倍楽しめたと思う。


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