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村上春樹『中国行きのスロウ・ボート』



気楽に気分のよい読書タイムをエンジョイしたいときは、村上春樹を手に取るにかぎる。俺は彼の文章が大好きだ。平易で清潔で整頓された感じがして、気分が整理されていくのを感じる。これは短編集なんで、お話ごとのサマリと感想を。



中国行きのスロウ・ボート
  • 「僕」が人生の中で出会った三人の中国人との思い出話。
  • もちろん文章はステキ。なんだけど話の意味はよくわからん。どこにいってもそこは自分の居場所ではないと感じる「僕」の気持ちを、同じく「本来の居場所である中国」から遠く離れた中国人たちと重ね合わせているのかな? 「友よ、中国はあまりにも遠い。」

貧乏な叔母さんの話
  • 「僕」が書いた貧乏な叔母さんの話。貧乏な叔母さんってのは、結婚式に出席しても誰にも紹介されず誰からも話しかけられず、贈り物をしても押入れの奥にしまい込まれるか引っ越しの折に捨てられるだけ、というような物寂しい者のことだ。
  • よくわからん。でもとりあえず貧乏な叔母さんのイメージ描写がふんだんに盛られてて笑う。村上さんがこの種の物寂しいイメージに「貧乏な叔母さん」という形を与えることを思いつき、それを「僕」が言っているのと同じように、それをテーマにひとつ書いてみたい、と思って書いた話なんかな。

ニューヨーク炭鉱の悲劇
  • その年は「僕」にとっておそろしく葬式の多い年だった。「僕」は喪服をもってないんで、葬式があると友人に借りてるんだけど、今年はマジで多いからホントいつもごめんねって言いながら訪ねてお酒飲みながらちょっと喋ったりする話。
  • いやもう、な。それと、動物園の話とかパーティでヘンな女にヘンなナンパをされかけたりするんだけど。まったく意味がわからん。今のところどの話も意味不明なんだけど俺の読解力大丈夫か?

カンガルー通信
  • デパートへの苦情を処理する「僕」が、ひとりのお客に苦情の返事をカセット・テープで送る。あなたの苦情は却下されちゃったけど、あなたの手紙はとっても魅力的で、文章、筆跡、句読点、改行、レトリック、何もかもが完璧でした。それは僕を性的に興奮させます。でも僕という個体があなたと寝ることを希望してるんじゃなくて、僕がふたつに分割され、あなたと寝ていない僕がありながら、あなたと寝たいのです。
  • みたいなマジキチ・メッセージの話。さすがの俺でもここまでくればこの短編集の役割がわかってくる。互いに繋がることなんてないような、そして言葉にもできないような、断片的な思想や思いをひとつずつ取り上げて、それに「ちょっとしたストーリー」という形を与えるのが短編のもっている意味なんじゃね? この話でいえば、「僕が僕であるという個体性を厭う」という思いを、ひとことで主張するんじゃなく、ストーリーにして、ゆっくりと語らっている。たぶんね。

午後の最後の芝生
  • 「僕」は19歳。芝刈りのバイトをしてたんだけど、恋人と別れるに伴って辞めることにした。ほんで最後の芝刈りに向かう。「僕」はものすごく丁寧に芝刈りをする奴で、そこんちの奥さんは喜んで、身の上話やらサンドイッチやらをご馳走してくれる。終わったあと恋人と別れることになった理由を考えてみると、こんな感じだった。「僕が求めているのは芝を刈ることだけなんだ」。
  • 「人」よりも「きちんとやること」に関心をもつ、ということがテーマだろう。芝刈りの下りで「僕」がどんなに芝刈りに熱心で、かつ人の感心をかうレベルなのかを描写し、恋人の下りで、その傾向が人へ向かう思いよりも強いことを表現してるんじゃないかな。気持ちはよくわかるぜ。テーマにストーリーを与えていることもすごいけれど、まずもって「きちんとやること」という概念に「芝刈り」という形を与える作業に成功していることも作者のセンスを見せているよな。概念と形而下の事物を結びつけるのってなかなか技術がいると思うからさ。

土の中の彼女の小さな犬
  • 毎年シーズン・オフに訪れるホテルで、女性と知り合って彼女の犬の話をきく。彼女が小さいころ、飼っていた犬が死んじゃったので庭に埋めた。そのとき持っていた通帳も棺桶に同封した。のちに、お金がちょっと必要になったときその通帳を掘り返してみた。通帳には「匂い」が染み付きすぎて、使えなかった。そのときから彼女の右手には「匂い」がずっと残っている。
  • 子供の頃のトラウマは大人になると実際以上に強固に残り続けるって話かな? 最後に「僕」が右手を嗅いでも石鹸の匂いしかしねーぞってシーンがあるが、そこが「実際以上に強固になる」ってのを表している気がする。そうなんだよな。ガキの頃のトラウマって……たとえ今経験したって3日で忘れるだろってことでも……ずっと覚えてるもんだよねえ。

シドニーのグリーン・ストリート
  • 父親の財産のおかげで一生遊んで暮らせるような「僕」は、シドニーのグリーン・ストリートに住んで私立探偵を道楽でやっている。そこへ羊男なるきぐるみ野郎がやってきて、羊博士に耳をむしられたから取り返してくれ、という依頼がくる。電話帳をめくって羊博士の居場所を調べ上げ、説得したら耳は返してもらえた。めでたしめでたし。
  • やばいこれは全然わからない。最後の最後にこれか。



気楽に気分のよい読書タイムをエンジョイできた。この人の文章が大好きだ。


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