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Paul Graham『ハッカーと画家』



知り合いが貸してくれた。エッセイだから、サマリというより、楽しめたくだりを個別に書き下す感じでまとめる。



ハッカーは科学者ではなくもの創り。
  • ハッカーとは、優れたプログラマたちが優れたプログラマたちのことを指していう呼び名だ。
  • ハッカーにとってコンピュータは単なる表現の媒体に過ぎない。画家にとって絵の具がそうであるように。
  • 多くの分野ではプロトタイプは本番とは違う材料で作られた。彫像は蝋でモデリングされたあとブロンズに鋳造されたし、石造りの建物はまず木で模型が作られた。油絵が流行したのは、プロトタイプをそのまま完成品にしていけるからだった。ソフトウェアも油絵と同じ。
  • 優れたハッカーは共通して好奇心が強い。好奇心とは、覗いてはいけないと書いてあるドアを覗くことだ。
  • 覗いてはいけないと書いてあるドアとは何か? 世間一般で口にしてはいけないとされていることだ。
  • タブーは時代によって変わるものだから絶対的なものではない。ものごとが意味不明な根拠で禁じられているということはよくある。非難の根拠がレッテルであるときその可能性は高まる。
  • 口にできないことを問い続けることで明晰な思考が生まれる。当然とみなされていることを疑う能力は科学でも大きな利点である。
  • ハッカーたちは基本的に非服従である。なぜなら、権威が幅を利かせる社会は悪いアイデアが勝つ世界につながるからだ。やりたいことが自由にできない社会では、最も効率の良い解ではなく影響力のある人々に支持される解が勝ってしまう。
  • 普通のプログラマは生活のためにコードを書く。素晴らしいハッカーにとってコード書きは楽しみのためにするものである。
  • 素晴らしいハッカーに共通することのひとつは、彼らが自分から望まないことをやらせるのは極めて難しいということだ。

富とお金は違う。本当に欲しいのは富である。
  • 富とお金は違う。お金は作り出せないが富は創り出せる。壊れた車を修理したら、富が創り出されたことになる。
  • もの創りの職人は富が創り出せることに気づきやすい。そして現代の職人がプログラマである。
  • 格差は悪いことではない。格差は富を作り出す人々が富の対価を得ている証だからだ。
  • ジャンボジェットのパイロットは荷物預かり窓口スタッフの40倍の収入を得ているかもしれないが、パイロットが領主で他のスタッフを奴隷にしているわけじゃない。単にパイロットの技能のほうがずっと価値があるだけだ。
  • ある人に他の人の2倍の才能があり、10倍の収入を得ていることを不公平と言う人がいる。だがそうではない。たかだか2倍の技能であっても、それが一人の人間の中に凝縮されているということに大きな意味がある。
  • 確かに技術収入の格差は広がっているかもしれないが、他の多くの格差は縮まっている。我々が避けたいのは絶対的な貧困であり、相対的な貧困ではない。

よいデザインは「人それぞれ」ではない。
  • センスは個人の好みだ、ってのは論争を避けるにはいいが真実ではない。
  • よいデザインには原則がある。たとえば単純であること。単純さを強制されれば、デザイナは本物の問題と向き合わなきゃならない。
  • プログラミング言語に優劣はないというのは真実ではない。プログラミング言語はどれもが、機械語から最もパワフルな言語までの抽象的なスペクトルのどこかに位置する。
  • どの言語に属していても、下の言語の劣悪さは理解できるが上位の言語の性能は理解できない。
  • プログラミング言語で最もパワフルなのはLispである。各言語は進化を重ねているが、だんだんとLispに近づいてきているだけだ。
  • 保守的な人々が礼賛し広くマーケティングされているアイデアは、その業界でのベストプラクティスと呼ばれる。しかし技術の世界で広くマーケティングされているアイデアを採用すれば、単にあなたを平凡するだけだ。

ハッカーを育てる方法は?
  • ハッカーはより「政治的に正しく」ない。プログラムというのは極めて複雑なもので、しかも流動的なものだ。そんな状況では前提を常に疑う習慣が役に立つ。
  • そんな資質を育てることができるかどうかは分からない。しかし少なくともそれを抑えつけないことはできるだろう。



楽しめたよ。この本から感じた印象が以下だ。
1. 自分を優秀だと思っている。
2. 自信があるから、ものごとを明確にすることを恐れない。
3. そういうマイノリティな生き方に親しんでいるから、似た生き方をしてきた人々に同調と仲間意識をもつ。
つまり俺ですね。全体的にこの本は、どんだけ自分が正当か理論立って説明したものだ。通読にあたりずっと気分良くいれたのは、全編に渡ってホメられているように感じたからだ。これは以前『マズローの心理学』読書で感じたものと同じだ。俺が思うに人ってのは、一度は自分ですでに考えたことがあること以外を理解することはできない。本を読んだ初めての理論をその場で理解できたとしたら、それは一度自分の頭で考え直して理解しているんだ。この本にあることのほとんどは俺が慣れ親しんだ世界観に存在する思想だったから、よく理解できて気楽な読書だった。さらに俺は最近プログラムをかじっているからそういう分野の記述もそこそこ理解できた。いやあ楽しめたぜ。
だけど、書いてあることがだいたい俺の頭にあることだったとはいっても、同じような文章が書けるかと言われれば否っぽい。すごく文章がうまいと感じた。たくさん出てくる例え話も理解しやすかったし、さすが業界でたくさん経験されてるだけあって説得力ある具体的な記述にあふれていた。


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