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アーネスト・ヘミングウェイ『武器よさらば』



古典だから身構えちゃったけれど、めちゃめちゃ読みやすい文章だったぜ。文章さえ読みやすければ、どんだけむつかしい内容を扱ってもらっても構わない。はは。サマリと感想を書く。



第一部
イタリア軍に従軍してるアメリカ人のヘンリー中尉が語り手。前線で負傷兵を運び、同僚たちとは仲良くて、親友もいて、女の子を買ったりして、たまに休暇をとって暮らしていた。親友リナルディの紹介で救急看護奉仕隊のキャサリン・バークリーに出会う。若干クレイジーの気があったが毎夜女の子を買うよりまともな生活だと判断し、遊びの恋をはじめる。とかやってたらヘンリーは迫撃砲にふっとばされて負傷、前線を退きミラノの病院へ入る。

第二部
病院にはキャサリンもちょうどよいタイミングで転属になった。ふたりはヘンリーの療養期間の間に仲をめっぽう深めた。今ではお互いにすっかり参ってしまった。キャサリンの夜勤のたび情事を重ねた。レストランにいき、競馬場へ行き、夏を楽しんだ。怪我が治ると、ヘンリーは前線に戻ることになった。キャサリンは妊娠した。

第三部
前線に戻ると長引く戦いにみんな疲れていた。軽いノリのリナルディもへとへとみたいだ。退却が決まり、軍の指揮系統は乱れ、疑心暗鬼で味方から撃たれたりする。そんななかヘンリーは野戦憲兵にドイツのスパイと誤解されて殺されそうに。とっさの機転で川に飛び込み、彼は脱走兵となる。単独講和。

第四部
ヘンリーはキャサリンと再会。もし軍に見つかればヘンリーは銃殺されてしまう。だがこのふたりは底抜けのポジティブシンキング、ボートでスイスに逃げおおせることにする。イタリア人なら危ういが、ふたりはアメリカ人とイギリス人だから大丈夫だ。

第五部
スイスでゆっくり過ごすふたりだが、やがてキャサリンのお産のときがやってくる。順調には行かず、難産を極めた末にキャサリンは亡くなり、死産になってしまう。



解説とか見ると、人生の不条理とか書かれていたけれど、このお話からそういう解釈を見出すのってよくわからない。すごく妥当な話の進み方をしているもの。こうなって、こうなった、って感じだ。ふ、不条理? 不条理ってなんだ? 世界は妥当な進み方しかしない。このお話の楽しめるところは、ヘンリーとキャサリンの息の合ったポジティブライフだ。
ふたりが仲睦まじく暮らしているさまは見ていて気分が良かった。何が良いって、このふたりの行く先を危ぶませるような出来事は多々起こるが、ふたりの間に悲壮感がまるで生まれないところだよな。それはなぜかと言えば、ふたりの間で完璧な世界を築いているからだと思う。ぼくがいて、きみがいる。それで完結している。小さく完結していることは強さだ。人のせいにしないからだ。人のせいにする奴は、人のおかげじゃないと幸せになれない。人のせいにしない奴は強い。唯一の弱点は、その世界が壊れることだ。ヘンリーとキャサリンの世界は、キャサリンの死で壊れてしまった。それは当然あり得たことだ。世界の完結性の責任の属する先が増えれば増えるほど、世界は壊れやすくなる。ふたりの世界はひとりの世界より壊れやすい。

ヘンリーがキャサリンに恋に落ちるところの描写はなかなかよかったな。
  • 「しばらくね、ダーリン」彼女は潑剌としていて、とても美しかった。こんなに美しい女は見たことがないと思った。(中略)キャサリンを見た瞬間、ぼくは恋に落ちていた。自分の中のすべてがひっくり返っていた。
でも、なんで恋に落ちたのかがわかりづらい。推測にすぎないけど、負傷して弱っているとき、懇ろな女性を久しぶりに見たから、相対的にすげー魅力的に見えたってことかな。

『武器よさらば』っていうタイトルを冠している以上、このお話は戦争に関する主張をメタフォライズするのが作者の意図したところなんだろうとは思う。けれどそこらへんに関する感想はぜんぜん湧かなかった。ふたりの仲睦まじい様子が素敵だった。スイスへの旅路あたりがグッド。好きな人となら、どこへだって行ける。不肖俺もその気持ちは知ってるから、とても共感できた。


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