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緑色さんの多目的ブログ みろりえいちぴー(旧) 引っ越し先 みろりHP: https://www.mrrhp.com ★ 2016.08.29 Monday
| カテゴリ:感想文 |
西尾維新『悲鳴伝』
● サマリと感想を書く。 ● 主人公の空くんは何事にも心を動かされないというパーソナリティをもった13歳の少年である。その才能を買われ、彼は地球撲滅軍なる「打倒地球」秘密組織に「英雄」としてスカウトをくらう。スカウトをくらうというか、家族を全員殺され、学校もまるごと焼かれ、退路を完全に絶たれた形で「どうか仲間になってください」とお願いされる。空くんはそんなヒドイ行いにもあまり心が動かず、断ったら生活ができないという理由で地球撲滅軍に参加することとなる。 彼の仕事は地球陣である「怪人」の殺害だ。怪人は普段人類に化けて過ごしており、特殊なゴーグルを通すことでその正体を見ることができる。が、その本当の姿はあまりに神々しく美しいので、見た人間は目が潰れて気が狂ってしまうのでコリャ参った状態なのである。そこで現れた、どんな神々しさにも美しさにも心を動かされない空くん。彼なら普通に怪人を直視でき、ぶっ殺すことができる。そういうわけでのスカウトだったのだ。 最初の任務でサクッと怪人を踏み殺し頭角を現す空くん。が、ぶっちゃけ秘密組織地球防衛軍はイカレ組織であり、空くんは人体実験の被害者の逃亡や上官の権力濫用に巻き込まれてしまう。けれど心の死んでる空くんはどんな出来事にもクールにあたり、関係者をみんな叩き殺す形で事態を沈静化させてのける。こうして「敵より味方を殺す英雄」空くんは地球撲滅軍第九機動室室長として、まあとりあえず落ち着くことができたのであった。 ● 500ページくらいあるのにとても読みやすくてよかったよ。いつも冷静な空くんにも共感できて楽しめた。 空くんは何事にも心を動かされないことに引け目を感じていて、つねに一般的な人間の演技をして生きている少年だ。主人公としてこれ以上の性格ってないんじゃねーの? 悲劇でいちいち行動が乱れたりしないから話を淡々と進めてくれるしさ。前に感想書いた『異邦人』のときも同じような印象をもった。あの話では主人公のムルソーさんってば、結局一般社会に殺されてしまうが、空くんは地球撲滅軍でひとまず勝ち抜きましたって話だったからめでたしだ。こういう主人公の話をもっと読みたいな。 …と思って続編である『悲痛伝』以降を読んでみたんだけど、以降はあんまり楽しめなかったので感想文はなし。いや空くんはカッコイイし一貫してスッキリするからいいんだよ。でも文章っていうか話の進みが、巻を重ねるごとに遅く遅くなっててかったるくなっちまった。お前ちょっと、初巻はサクサク進んだのにどうしてこうなっちまった。 関連記事AMAZON2016.08.27 Saturday
| カテゴリ:感想文 |
ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』
● 知り合いとの会話に出てきたんで読んだ。サマリと感想を書く。 ● 32歳のチャーリイ・ゴードンさんは知的障害者だ。だけど頭がよくなることへのモチベーションは非常に高く、ビークマン大学で行われている知能上昇研究に被験者として協力していた。脳手術と学習カリキュラムを受けたチャーリイさんはものすごい速度で知能を上げていき、20か国語と複数の学問をソッコーで習得するようなレベルのIQにまで登りつめる。 するとビックリするのがまず周囲の人々の反応である。頭がよくなればみんなに好きになってもらえると思っていたチャーリイだが、周りの反応は知的劣等感からくる敵対心がほとんどであった。そして知能や学問では解決できない問題が世の中にはたくさんあること。過去母親にきつく折檻された経験がコンプレックスとなり、女性とのセックスができないこと。 しかし何よりチャーリイのストレスとなったのが、知能の上がる前のチャーリイが人間扱いされていないことだった。そういう発言をきくたびに、彼は「ぼくは人間だ。手術の前だって、ぼくは存在していたんだ」と心のなかで叫ぶ。そしてとうとう行方をくらまし自分探し的な生活をはじめる。その中でチャーリイは、「吾を信じる」ことを知り、家族との再開をし、知的障害に関する独自の研究を行うため、大学に舞い戻る。 彼は自分に施術をした教授陣の研究の欠陥を発見する。今回の施術ではチャーリイ命名するところの「アルジャーノン・ゴードン効果」が発生し、人為的に誘発された知能はその増大量に比例する速度で低下することがわかったのだ。ガンガン低下するチャーリイの知能。今のチャーリイが失われていくのを見て、周りの人々は悲しむ。これ以上みなを悲しませたくないと願うチャーリイは、自らの意思で養護学校へ入ることにするのだった。 ● 文体について。 この本は全編通してチャーリイ自身の経過報告書の体裁をとっているのだけど、チャーリイの知能が低いころの文章が、読みづらくて読みづらくて難儀した。しかし知能上昇に従って単語が正確になり、句読点を使うようになり、感嘆符を使うようになるとめきめき読みやすくなり、びっくり。やっぱ知能と文章力は比例するんだなあと。 知能上昇にともなう周囲の反応について。 白痴であったチャーリイに知能を追い越されることで、周囲の連中が劣等感と敵対心をもつって話だったけど、まあこれはしょうがないよなー。知能の上がりだした頃のチャーリイもチャーリイで、天然で「えっこんなのも分かんないの、嘘でしょ!?」みたいなのを連発してたしさ。キニアン先生の「違う! わたしが毎日、ばかになっていくわけじゃない! チャーリイがどんどん進歩しているので、まるでわたしが後退しているように見えるだけなのよ!」みたいな叫びからは恐怖が伝わってきてよかった。それに続く「あなたが何かを説明してくれて、あたしにそれが覚えられないと、あたしが興味がないから、そうする気がないんだと考える。でもあなたは知らないのよ、あなたが帰ったあと、どれほどあたしが苦しんでいるか」は、優秀な人は一度は言われたことがあるんじゃないかな。できる奴は、できない奴がどうしてできないのかわからないってやつ。 同僚の詐欺を見逃すかどうかの決断。 知能の上がったチャーリイには、パン屋の同僚がちょっとした横領をしていることに気付いてしまう。店長に恩があるからそれはやめさせたいが、同僚にも生活があるので、それを自分が潰してしまうのもどうなんだろう、みたいな悩みをチャーリイはもつことになる。知能が上がっても、その答えが出ることはなかった。キニアン先生の言葉「あなた自身で答えを見つけなきゃいけない……正しい行為が直感できるようでなければ」によって、突如チャーリイは「吾を信じる」ということを悟る。このシーンは、読んでるこちらにも、チャーリイの前にたれこめていたもやがいっぺんに晴れるのが伝わってきてグッドだった。きっと俺にもこういう瞬間があったと思う。他人の価値観に左右されることはない、自分の中にあるものに従えばよいのだとひらめく瞬間だ。 知能の上がる前のチャーリイが人間扱いされていないことについて。 まあこれは、人間であるか人間でないかの基準に「知能」だけを採用してる考え方だよな。それに反発したチャーリイが打ち出した意見が、「人間的な愛情の裏打ちのない知能や教育なんてなんの値打ちもない」だ。人間を人間たらしめているものは知能だけじゃないってことかな。このへんについて俺はあんまり興味ない。人間が人間である基準などについてはあんまり興味ない。言葉なんてのは喋ってる連中にとって都合のいい呼称にすぎない。答えのないものについて答えを出そうとすることはマヌケだ。そのことはチャーリイ自身が本編で言ってる。以下の部分だ。 チャーリイさんのとっても完璧なライフハック。
アルジャーノンについて。 『アルジャーノンに花束を』って結構有名じゃん? タイトルだけは知ってたわけよ。で、ずっとアルジャーノンって、線の細い女の子で、白いワンピースを着てて、麦わら帽子を被ってて、草原を軽やかに歩いてるような奴なんだろうと思ってたんだって。したら全然違うのな。ネズミの名前だったんだよ! しかもオス! この小説で一番びっくりした。 昔学校の授業で短編小説を書こうってのがあって、俺がトップ評価を得たことがある。あんときは嬉しかったなー。それでその内容が、脳手術を題材にしたSFものだった。だからちょっと共感を覚えたぜ。 2016.08.15 Monday
| カテゴリ:みろりHP |
イヤホン新調
● イヤホンを新調した。CollectionAudioのMR012(リンク先はamazon)というやつだ。今回の買い物は成功とは言えなさそうだ。何せこいつはウォークマンで使えない。 ウォークマンでは断音からの耳鳴り音がする不良具合で、コードについてる再生停止曲戻し曲送りのスイッチも機能しない。問い合わせたところ、「こいつはスマホ用製品なので交換しても解決はしないだろう」という旨の返答をもらった。当初は返品して違うのを選びなおそうかと思ったんだけど、スマホ用であることがアマゾンの商品ページには記載していないことから、返品不要で全額返金をしてもらっちゃったんでこのままスマホ、PC用に使い続けることにした。実はスマホを音楽プレーヤー代わりに使えることって今まで知らなかったんだよ。いい機会なのでその機能を使い始めてみようかなと思ってる。 使用感は悪くない。重量がちょっとあって高級感あるし、コードが太くて絡まらない。でも音がちょっと微妙かな? いや俺は全然音楽わかる耳じゃないけど、前回や前々回のイヤホンで感じたような「わっこれは素敵」がない。 ● 数年使い続けた相棒は、イヤホン部分は接着剤がとれてテープで巻いてる、コードは外装が剥げて同線が露出してるんでテープでカバーしてる、新しいイヤホンと聞き比べたところ音が大分遠くなってる、なんつー始末だった。ウェルにはもう2年くらい前から「もう変えろ」と言われていたんだが、いやー、よくここまでもってくれたものだ。 2016.08.12 Friday
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山の日の金華山登り
● 昨日は11日は「山の日」だったんで、山へ自転車で行ってきた。出発は朝4時だ。 昼間になっちゃうと太陽がマジ本気出してきてマジ死にそうになるので、涼しい+道が空いてる時間にこのイベントをぱぱっとこなしてしまおうって寸法。 岐阜に入ったあたりで朝焼けを見る。日が出てくるとそこそこ暑いんだけど、それまでは涼しくてよい感じ。 トンネルを見つけたので突入する。昔からトンネルが好きだ。原付でぶらぶらするときも、長いトンネルとかあるとテンションがだだ上がる。 山の上に謎の城を見つけたので、今回のメーンイベントはあすこへの登山にする。 俺「おはよーございますお散歩中すみません。あすこを登りたいんですが、道はどのへんにあるかわかりますか?」 お散歩中のおばさま「金華山かい? あのへんにあるわよ気を付けてね〜」 が! 金華山は岐阜城の頂上へは車道が通ってない上に、そばまで行けるドライブコースも朝7時からしか開放されないことが判明。現在6時だ。仕方ないので、自転車をかついで山を登ることにする。 一人旅ってのはこういうパワープレーができるから良いんだ。 ヤバイくらい汗かいたが、山頂までたどり着いた。 かついで来たのかよ嘘だろおいって声かけてくる登山客に写真をとってもらう。 帰りもかついで下山する。登りよりラクだが意外とキツイ。 いちおう金華山周辺の山っていうか丘を自転車で走っておく。 今回の謎登山も楽しかったけど、また次回山へいくときは普通に自転車で越えたいものだ。 2016.08.11 Thursday
| カテゴリ:感想文 |
フランク・ゴーブル『マズローの心理学』
● 親愛なるルームメイトとの会話で、ちらっと「マズローの欲求階層」の話が出た。そんなわけで次の読書に選んでみた。気になったとこと感想を書く。この本、めっちゃホメられてると感じる部分があって気分よかった。 ● マズローさんの心理学説は第三勢力と呼ばれてる。ほかの二勢力ってのはシグムント・フロイトとジョン・ワトソン。 フロイトの考えでは、人間の中では本能と道徳がつねにバトっており、そのバトルの勢いにやられちまう奴が精神の患者である。本能のほうをうまく抑圧、あるいは方向転換することを学習すれば精神障害を克服できるって寸法だ(なおここで言う本能のことをイド、道徳のことを超自我、イドを御する学習のことを昇華と呼ぶ)。ワトソンたちは行動主義者という。人間も所詮はひとつの動物であり、本能だの道徳だのは結局行動に帰結するって感じ。「人格とは習慣の体系の最終産物に過ぎない」って言葉に象徴される。 二勢力は人間の積極的側面を無視し、人間の本能や動物的側面を悪として扱い、それを制することに焦点を当てていた。また、人間を客観的に観察するばかりで主観的な方法は取らなかった。マズローはそれらの真逆の方法をとっており、第三勢力と称されることになった。 そんでマズローがとった研究方法はというと、めっちゃステキな人間のことを研究し、そういう連中の特徴から精神的健康になる方法を割り出そうっていうものであった。そのめっちゃステキな人間のことは「自己実現した人間」とか「完全な人間性」という。自己実現した人間の特徴は以下である。
人間はつねに何かを欲求している欠乏動物であり、何か基本的な欲求が満たされれば、高次の欲求を満たそうとする。欲求は階層構造をつくり、もっとも低次の「生理的欲求、安全の欲求」という基本的欲求の上に「愛、集団所属の欲求」、「自尊心、尊敬の欲求」が重なり、さらにその高次に成長欲求が並ぶ。もっとも高次に自己実現が存在する。とくにもっとも低次の基本的欲求は重要で、これが満たされない人間は精神病理的な兆候を示すようになる。 まあつまり、この階層を下からキチンと満たしていけば、いつのまにか精神的にちょー健康的な自己実現した人間になってるってわけだ。なおこの欲求階層ってのは別に、下層が100%満たされないと高次に進めないってわけではない。 逆に、かなり自由なアメリカ社会においてさえも自己実現する人間が少数である理由が以下。
● みどりんのことじゃん! なんだー、言ってくれたら俺のことも観察してくれてよかったのに、マズローさん! 欲求階層のことはもとから知ってたけれど、それが自己実現した連中を観察して発見されたものだってことは初知りだったね。悪いところを治していこうってんじゃなくて、もともと完璧な連中を目指せば根治になるじゃん! っていう方向性は俺の好みでもあり、読みやすかったよ。やっぱ下じゃなくて上をみないとね、空のさらに向こうらへんをね。 2016.08.06 Saturday
| カテゴリ:プログラミング |
Python DialogFrame0.2 対話劇作成ツール
● みろりHPのファイル置き場 - DialogFrame0.21(2016.08.08. 微細なミス発見のため0.21へバージョンアップ) みろりHPのファイル置き場 - DialogFrame-cassettes 以前も、仲間と遊んだTRPGの再現プログラムを書いた(Python pygameスクリプトのexe化)けど、あれ作るの結構楽しかったんだよ。だから今回は、ああいうのをラクに量産するためのフレームワークツールを作ってみた。 こういうのがカンタンに作れる。画像を用意してー、音楽用意してー、設定ファイル書いてー、台本書けばできる。詳しいことはダウンロードパッケージのHowToファイルに書いてある。 おもな機能。
ダウンロードセットにはすでに「cassette-DialogFrameTutorial(チュートリアル)」のカセットが入ってる。初期状態ではチュートリアルが再生される。DialogFrame-cassettesにはMATETRPGのカセットがみっつ入ってる。カセットの入れ替え方法は以下。
チュートリアルはあんま役に立たないかも…。 ● 例によってダウンロードファイルの中にソースもまるごと置いてるので興味があったら見てみて。 今回コードが1000行超えちゃって口角引きつりっぱなし。1ファイルの中にクラス8個も入ってんだぜ。うっかりpygame.init()をグローバルでやっちゃったもんでこういうことになっちゃってる。メインクラスのコンストラクタでやるべきだったのかな? せっかくクラスを覚えたのに何をやっているのだか…。 2016.08.01 Monday
| カテゴリ:プログラミング |
Python ImageTest0.2
● みろりHPのファイル置き場 - ImageTest0.2 先週つくった、pygameで画像の配置感と座標を見ることが出来るツールだけど、実用したらユーザインタフェースがゴミで使いづらいのなんの。このツールが役に立つことは疑いようがないので、以下の様な更新を行った。
imageフォルダの画像全読みと、マウス操作対応はツールの操作性をかなり上げてくれた。ちなみにスクリプト内に設定を書く必要がなくなったので、exe化することにした。配布物内にあるsourceフォルダにソースは入れてある。 関連記事
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